大学院は一般的に学部を卒業した人(学士号を持つ人)が入学し、学部に比べより主体的な研究活動を通して、高度な専門性を持つ仕事を担うための知識や技術を身につける場所です。システム工学部には、修業期間が2年の「博士前期課程」と3年の「博士後期課程」の2つがあります。
博士前期課程では、修了のためには授業単位取得のほかに研究論文の審査を受け合格する必要があり、修了の条件を満たすと「修士(工学)」の称号が授与されます。前期課程修了者のうち「研究者」になることを希望する学生は博士後期課程へと進学します。博士後期課程は「専攻分野について、研究者として自立して研究活動を行うこと」が目的なので、前期課程に比べより自立した研究者としての立場が求められます。前期課程と同じく単位取得と論文審査を経て修了することで、「博士(工学)」の称号が授与されます。
システム工学研究科には,幅広い知識に加えて専門性を高めるため,研究指導の単位として教育研究クラスタを設置しています。指導教員が所属するクラスタに応じて,環境科学メジャーおよび環境デザインメジャーからは,コミュニケーション科学,デザイン科学,知的モデリングの3つのクラスタに進学することになります。
それぞれのクラスタに所属する教員については,システム工学研究科のホームページに記載されています。
(クラスタ紹介へ)
大学院生へのインタビュー
- 現役大学院生に聞くー何を感じ、何を考えたか(2015年12月11日資料)
- コミュニケーション科学クラスタ 博士前期課程 池田航助さん(2016年5月)
- コミュニケーション科学クラスタ 博士前期課程 福永翔太さん(2016年5月)
- 知的モデリングクラスタ 博士後期課程 藤野晃博さん(2016年5月)
- デザイン科学クラスタ 博士前期課程 椛島充智さん(2016年5月)
- デザイン科学クラスタ 博士前期課程 西森英子さん(2016年5月)
進学率
全国の国公立大学の工系学部では,一般に,企業や団体の技術職での就職を考える学生は前期課程まで,大学に残って研究を続ける,もしくは企業や団体の研究開発職として働くことを希望する学生は後期課程まで進みます.近年,特に大学院博士前期課程(修士課程)の進学率は上昇傾向にあり,工学部では36.2%と主要な進路になっています。国立大学に限ればその割合は63.4%になります(平成27年度文部科学省学校基本調査より).システム工学部においても学部全体で45.8%(平成26年度;キャリアセンターシステム工学部へ),環境科学メジャーおよび環境デザインメジャーの前進の環境システム学科では33%の学生が大学院に進学しています(環境システムコースのページへ).このように工系学部の大学院進学率が高いのは以下のような理由が考えられます.
1. 大学院(博士前期課程)に進学すると,さらに本格的な専門の研究ができる.
基礎的な勉強中心で,卒業研究の期間が約1年しかない学部時代は,高度な専門性よりも工系学部出身者としての基本的な知識や技術を身に付けることが主な目的となります.一方,博士前期課程の2年間は,学部時代よりも授業が少なく,研究活動により多くの時間を費やすことができます.すなわち,学部と同じ大学の大学院に進学した場合には,学部時代を含めて合計3年間に渡って研究に集中できるわけです.
2. 大学院(博士前期課程)での活動を通して社会が求める理工系人材の資質を深めることができる.
社会が理工系人材に求める資質には,①コミュニケーション能力,②チャレンジ精神,③行動力?実行力,④問題発見?解決能力,⑤学位に応じた基礎知識などがあります.⑤は研究活動そのものですが,他の4つの資質も大学院時代の研究活動を通して深めることができます.
-
博士前期課程での2年間の研究活動
?→?学位に応じた基礎知識(より専門性が増す) -
教員やゼミ生との議論,調査先や共同研究者との対話
?→?コミュニケーション能力の向上
注)大学院の研究活動では,学術団体の研究会での研究成果発表や共同研究者との研究打ち合わせが普通にあります.そのため,他者にも平易かつ論理的に説明する発表力,議論力を身につけることが可能です。 -
国内外での研究発表
学外発表は外の研究機関,関連会社との交流の場でもあるため,新たな経験と人脈作りの機会となるでしょう。さらに,国際会議での発表は,海外での経験を通して世界の事情を知ることと視野を広める重要な場となるほか,英語による原稿の作成および発表練習を行うことで,語学力の向上にもつながります。 -
論理的思考に基づいた研究課題の発見や研究計画の立案,研究アプローチの選択
?→?問題発見?解決能力 -
一連の研究活動(計画-調査-分析?評価-考察?提言)の遂行,主体的な学習スタイル
?→?行動力?実行力,チャレンジ精神
3. 理工系の博士前期課程卒という経歴が就職活動で不利になることはほとんどない.
企業は理工系職(技術職や研究職)には高度な専門性を持ち,問題を自分の力で解決できる人材を求めていますので,その両者を備える大学院卒者が採用面や給与面で優遇されることがあります.また,採用で学部卒と大学院卒を区別しない企業では,学部生と大学院生が同じ土俵で競うことになります.この場合も,企業の求める理工系人材の条件を満たしている大学院生が有利になることがあります.
4. 各種の奨学金制度や本学独自の補助制度が充実してきた.
学部と大学院で大きな違いはありませんが,現在は,日本学生支援機構だけでなく,財団,個人団体,県や市町村など,非常に多くの奨学金制度があります.その内容は,利子の有無,給付?貸与,対象者,一時金?月毎受け取りの違いなど様々です.このような奨学金の中でも,最も一般的な日本学生支援機構の奨学金の第一種(無利子)を借りた場合には,大学院時代の成績が優秀であれば,大学院時代の奨学金の返還が全額免除になることもあります(学内審査あり;日本学生支援機構の奨学金は貸与型です).財団からの奨学金の場合は給与型が多いです。これらの奨学金の情報は,学生センターに掲示されます。
また,システム工学研究科では,後援会による学生の学外での発表参加に係る経費の補助も行っています(海外での発表が優先ですが,国内開催の国際会議や国内会議も対象になります;?学内審査あり)。