研究ユニット
プロジェクト名
インバウンドの求める日本の食と農に関する研究
代表者
プロジェクトメンバー
植田 淳子、大西 敏夫、大浦 由美、杦本 敏男、戴 容秦思、辻 和良、藤田 武弘、橋本 卓爾、湯崎 真梨子
プロジェクト期間
2016年度 ~ 2018年度
プロジェクト概要
本プロジェクトにおいては、和歌山県における「食と農」に着目したツーリズムの可能性について検討した。近年、従来のマスツーリズムに加えて、ニューツーリズムが注目されつつある。なかでも、食料?農業?農村分野においては、グリーンツーリズム(農作業体験、農産物直売所、農家民泊など)として、その取り組みが進められており、和歌山県内でも同様の傾向が伺える。グリーンツーリズムを推進するにあったっては、農業や農村の理解醸成は必須となっているにも関わらず、包括的かつ歴史的に農業や農村を学ぶテキストの整備は進んでいない。そこで、グリーンツーリズムを推進するためのテキストとして和歌山県農業展開史をまとめた。そして、公開セミナーを開催し、展開史にまとめた和歌山県の食料?農業?農村といった地域資源の魅力について情報発信するとともに、今後の展開方向について意見交換を行った。
3年間を通じて、インバウンドの求める食と農とは、どのようなものか?について検討した。まずは、基本的な文献研究により、学術的な日本の食と農の変遷と位置づけを確認することができた。日本の食と農に関する意識は、多様化しているにも関わらず、都市部を中心として食を提供する装置(スーパーマーケットや中食産業、外食産業)は経済効率を優先するあまり、むしろ画一化している。そのため、インバウンドは、都市部の食に魅力を感じなくなっている傾向がある(自国と同じような食環境がある一方で、日本食としての独自感や魅力が失われつつある)ことがわかった。同時に、農村部に残る多様な食(郷土食や行事食)は、インバウンドにとって魅力のあるものだとわかった。