天然物を利用したドラッグデリバリー(DDS)のためのベシクルの開発
複数の糖を備えたベシクルの細胞認識
ドラッグデリバリーシステム(DDS)は、患部にのみ選択的に薬剤を送達し、その部位に留まって一定期間薬剤を放出し続けるようなシステムであり、患部以外に作用しないために副作用が軽減できるうえ、投与する薬剤の量を最小限に止めることも可能になります。また、薬剤放出能を制御できれば、薬剤の投与期間を延ばせるので、患者の負担軽減も見込めます。本研究では、特定の細胞表面にのみ認識される糖を複数備えた両親媒性分子を合成し、球状の二分子膜であるベシクルを調製してDDS用のキャリアに用いることを目指しています。また、米糠より抽出されたフェルラ酸は抗腫瘍活性を示すことや、食品添加物としても利用されることから、生体に優しい化合物として、フェルラ酸に長鎖のアルキル基等の種々の置換基を備えたアミンを付与したものを合成し、それらから成るベシクルの特性評価を行っています。